現代美学の射程

基本情報

科目名
現代美学の射程
副題
現代において美学的に思索するとはいかなることか
プログラム
感性文化
授業タイプ
講義科目
担当教員
教員、伊野連
曜日
水曜日
時限
3時限
教室
36-681
授業シラバス
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授業概要

現代美学においては、「創造」「模倣」「反復」などがキーワードとして論じられる。創造性・オリジナリティは最上のものとされがちだが、古今、まったくのオリジナルなどそもそも存在するのだろうか。ましてや「芸術の終焉」が叫ばれて久しい現代においてはなおさらであろう。
 すると模倣とかコピーの意味を再検証する必要が出てくるはずである。オリジナルとコピーとの差異を「アウラ」(オーラ)の有無に指摘した美学者(W・ベンヤミン)もいる。我々現代人が接しているアートのほぼ100%はコピーのはずで、それで感動できる我々とはいったい何なのか。日々展開されているアート・ムーヴメントは単なる反復にすぎないのか否か。
 分野にとらわれず、マルチ・メディアを用いて、一般に主要3ジャンルとされる美術・音楽・文学はもちろん、サブカルチャルなものやスポーツなども視野に入れたい。同じく、美学と倫理学との近接する問題についても考察してみたい。

授業計画

1:第1回 「現代美学の射程」をめぐって――「現代」における「美学」とは何か――
 2:第2回 モダンとポストモダン――マルセル・デュシャン『泉』――
 3:第3回 「中心の喪失」と「新しい神話」――F・シュレーゲルと近代ドイツ文化――
 4:第4回 西洋音楽史再考――ドイツ音楽中心主義vs.イタリア・オペラ至上主義――
 5:第5回 映像作品における音楽の意義――映画『アマデウス』考察――
 6:第6回 ゲスト講義(その1)
 7:第7回 芸術における愛と死――中世英雄叙事詩と楽劇『トリスタンとイゾルデ』――
 8:第8回 廃墟の美学・序説――美学と感性論――
 9:第9回 「醜」の美学――美学的価値と倫理学的価値――
 10:第10回 フェティシズムと芸術――有用性を超えた物神性――
 11:第11回 ゲスト講義(その2)
 12:第12回 三島由紀夫、ギリシャ悲劇、任侠映画――悲劇の本質と倫理的葛藤――
 13:第13回 オリジナルとコピー――W・ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』――
 14:第14回 身体性と美――舞踊、スポーツ、名演奏――
 15:第15回 試験:授業時間内にレポート1課題を執筆して提出