異文化受容と文学の変容

基本情報

科目名
異文化受容と文学の変容
副題
異文化受容に文学はどのように関わるか(ヘレニズムの東漸とその変容)
授業タイプ
講義科目
担当教員
宮崎文典
曜日
月曜日
時限
3時限
教室
36-681
授業シラバス
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授業概要

 独自の文化を持つ集団が,異文化と接触し,それを受容することによって,自身の文化にも変容が生まれ,新しい文化が創造されます,例えば,日本の場合は古代には中国と朝鮮半島の先進文化を受容しましたが,その中にはインドで生まれた仏教もありました.また,中国やインドもシルクロードなどを通じて,西方世界の影響を受け,それを独自の文化形成に活かしています.16世紀に大航海時代が現出し,東西の交流が盛んになり,日本では南蛮文化と呼ばれる西洋の影響が流行しました.幕末から明治維新,第二次世界大戦後の大変革など,現代に至るまで,日本は様々な外来文化を受容し,それを独自に変容させて新たな文化を創り上げてきました.これは,日本だけに限りません.ヨーロッパ文化の根幹と言えるヘレニズムとキリスト教の影響に焦点を当てながら,詩や小説に限定されない広義の「文学」(演劇,歴史,思想を含む)が,異文化の受容と,新たな文化の創造にどのような力を持ったかを考察したいと思います.

授業計画

第1回
芥川龍之介と南蛮幻想・・「百合若伝説」と『オデュッセイア』

第2回
太宰治と古典古代,キリスト教・・『走れメロス』と『駆け込み訴え』

第3回
村上春樹とギリシア悲劇・・『エレクトラ』と「機械仕掛けの神」

第4回
蜷川幸雄と古典演劇の伝統・・『オイディプス王』をめぐって

第5回
ギリシア悲劇とセネカ・・メデイア,パイドラの情念とストア哲学
6:
第6回
セネカの悲劇とルネサンス・・シェイクスピア,コルネイユ,ラシーヌ

第7回
シェイクピアと古代喜劇の伝統・・『間違いの喜劇』の比較文学

第8回
シェイクスピアと古代,中世・・『夏の夜の夢』の異文化理解とその影響

第9回
イソップ寓話と異文化受容・・「アリとキリギリス」をめぐって

第10回
三島由紀夫と古典古代・・『潮騒』と『獅子』

第11回
視覚芸術とギリシア神話・・『変身物語』とその影響

第12回
視覚芸術とキリスト教・・『黄金伝説』とその影響

第13回
音楽をめぐる比較文学・・バロック・オペラとリヒャルト・シュトラウス

第14回
比較文学と古代思想・・「恋愛」と「友情」をめぐって

第15回
理解度の確認