感性の哲学

基本情報

科目名
感性の哲学
副題
近世以降の感性論の展開
授業タイプ
講義科目
担当教員
桑原俊介
曜日
木曜日
時限
5時限
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 17世紀は「方法の世紀」とも呼ばれ、哲学がその根底から、つまりその方法から刷新された時代です。それに伴い、人間の認識能力にも新たな問いが立てられ、知性のみならず感性に関しても様々な理論の樹立が試みられました。この流れは、18世紀前半から中葉にかけての「芸術」概念の成立や、「美学」という新しい学問の成立に結びくことになります。本講義では、この歴史的展開を、「認識」(感性)と「存在」をキーワードとして再構成することを試みます。認識と存在の間にある複雑な認識論的・存在論的関係性の下で、感性のあり方、芸術のあり方が問い直されることになります。そして最終的には、現代哲学のホット・トピックである思弁的実在論と関係付けることを目指します。
 内容は多少高度になりますが、各種テクストを丹念に読解しつつ、それぞれの理論の根幹となる図式を正確に捉え、その歴史的展開を可能な限り精密に描き出すことを試みます。

授業計画

第1回
導入:哲学の近代化とは? 美学とは? 感性とは?
第2回
近代の端緒:デカルトの哲学。コギト。二元論と感性論。
第3回
イギリス経験論(1):ベーコンとロックの感性論。観念・経験・感性の新定義。
第4回
イギリス経験論(2):バークリの感性論。感性と存在。
第5回
イギリス経験論(3):ヒュームの感性論と趣味論。
第6回
ドイツ合理論:美学の成立条件(1):知性的真理から感性的真理へ。
第7回
ドイツ合理論:美学の成立条件(2):必然的真理から蓋然的真理へ。
第8回
ドイツ合理論:美学の成立条件(3):現実的真理から可能的真理へ。
第9回
フランス啓蒙主義:曰く言い難きもの。趣味。芸術概念の成立。
第10回
ドイツ心理学的美学:芸術概念の継承。芸術の自律性。認識の3分類。
第11回
カント(1):『純粋理性批判』カントの全体構想。コペルニクス的転回。感性論。
第12回
カント(2):『判断力批判』:美と崇高の分析論。目的論。
第13回
ニーチェ『悲劇の誕生』と『力への意志』:感性の新解釈。
第14回
ハイデッガー『芸術作品の根源』:大地の論理。
第15回
ハーマン:オブジェクト指向存在論:事物の退隠(脱去)。第一哲学としての美学。