複合文化論系演習(日本の美意識)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(日本の美意識)
副題
存在のエッセンスと文化発展の原動力としての美意識
授業タイプ
演習
担当教員
クリステワ・ツベタナ
曜日
火曜日
時限
3時限
教室
33-333
授業シラバス
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授業概要

 「すべての民族は、その民族自身を世界にあらわす義務を持っています。 (中略)民族は彼らのなかにある最上のものを提出しなければなりません。(中略)日本は一つの完全な形式をもった文化を生んできたのであり、その美のなかに真理を、真理のなかに美を見抜く視覚を発展させてきました」。これは、およそ百年前に、アジア初のノーベル文学賞受賞者であるR.タゴールが「日本の精神」という公演のなかで強調した日本文化の特徴である。
 美意識は、時代や文化、民族や個人によって異なるが、美の把握と追求そのものは人間のエッセンスを成しているのではないかと言える。それゆえ、タゴールがさらに論じているように、日本文化を特徴づける美意識は、「全人類にとって貴重なもの」とされるのである。
 本演習では、日本文化史の流れを遡って、美意識の根源を求め、移り変わりの過程をたどる。古典文学から漫画やアニメなどまで、美の表現の多様性を確認し、具体的な例を考察することによって、日本的美意識のエッセンスを問うていく。
 前半は、講師が問題提起をしてから、基礎知識を提供し、考察のモデルを紹介する。後半は、学生による発表とディスカッションを行う。詳細は第一回目のオリエンテーションで説明する。

授業計画

第1回
オリエンテーション: コースの内容や流れ、学生の参加、評価基準についての説明
第2回
問題提起 I : 理論的ベースとアプローチの紹介
(西洋中心的な考え方を崩そうとしたC・レヴィ=ストロスやJ.デリダを中心に)
第3回
問題提起 II : 日本の美意識とは?
(R.タゴールや川端康成という二人のノーベル文学賞受賞者の見解を中心に)
第4回
問題意識の確認 総合ディスカッション
第5回
美意識の根源としての『竹取物語』
第6回
和歌における自然と心の重ね合わせ
第7回
『枕草子』の「物づくし」
第8回
『源氏物語』における感覚の世界
第9回
総合ディスカッション
第10回
「色」と「香り」の文化の歴史 I
第11回
「色」と「香り」の文化の歴史 II
第12回
俳句の宇宙論
第13回
「亡からんのちの形見」としての美 I: 古代編
第14回
「亡からんのちの形見」としての美 II: 現代編
第15回
まとめ