文化観光と地域社会

基本情報

科目名
文化観光と地域社会
授業タイプ
講義科目
担当教員
竹野内恵太
曜日
木曜日
時限
3時限
教室
未定(対面)
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

観光は、外国や他郷の風光・景色の行楽や観光名所の遊覧といった、単なる見物を目的とした従来型の旅行だけを含むものではない。地域に根ざした伝統や歴史、生活文化、芸術、遺跡、景観などの文化資源・文化遺産をコンテンツとして地域社会を活性化させ、地域文化への理解を育むための「文化観光」という観光の側面も見い出されてきた。今日、地域社会や伝統文化の衰退、文化継承の担い手不足、文化資源・文化財の保存活用をめぐる課題など、各国はさまざまな問題を抱えている。地域に受け継がれてきた重要な文化と文化的景観を守るために、どのようにその付加価値を高めるのか、各地域のもつ豊かな文化資源の魅力や価値の本質をこれまで以上に発信し支えていく必要がある。そのうえで、それらをどのように地域振興とまちづくりへ積極的に活かしていくのか。文化資源・文化遺産を守りながらその価値を高めるとともに、そのコンテンツと固有のブランドを観光・経済・まちづくりに活かすことで地域社会を活性化させることが文化観光の大きな目的である。国内では、地域社会の過疎化や少子高齢化により地域社会と伝統文化の衰退が著しいが、その対策の一つとして文化観光推進に関わる法律が施行されるなど、近年その社会的関心は高まっている。また、文化観光は成長産業としてもみなされてきており、たとえばインバウンドに対する観光戦略における文化資源・文化遺産を活用した取り組みなど、旅行・観光経済において重要なファクターを占めつつある。ただし、観光をめぐっては、オーバーツーリズムによる地域社会の住民と自然環境および文化財への悪影響、大衆観光による伝統文化の衰退・変容といった問題と分かちがたいことも事実である。本講義では、文化観光の社会的・経済的な位置づけと地域文化の継承と振興における重要性をそのような問題点も含めて見ていく。

授業計画

1:
第1回
ガイダンス:本講義の目的と概要、流れ
2:
第2回
文化観光とはなにか:その定義、歴史、法制度、社会的な位置づけ
3:
第3回
地域文化と観光事業の共生:その持続可能な文化観光の取り組み
4:
第4回
リビングヘリテージ:地域社会の生活文化の継承・振興と地域住民
5:
第5回
文化財保存活用施設・文化観光拠点施設の役割と意義について(特に博物館と美術館)
6:
第6回
官民連携の文化資源の活用:公的支援・制度とグローバル観光産業について
7:
第7回
オーバーツーリズムをめぐる問題およびマスツーリズムの変化
8:
第8回
文化観光におけるブランディングと観光地・遺産のコモディティ化
9:
第9回
文化観光と地域社会1:日本国内における取り組みの事例
10:
第10回
文化観光と地域社会2:中国・東南アジアにおける取り組みの事例
11:
第11回
文化観光と地域社会3:北米アメリカにおける取り組みの事例
12:
第12回
文化観光と地域社会4:欧州、特に先進的なイギリスにおける取り組みの事例
13:
第13回
文化観光と地域社会5:アフリカ、特に観光立国エジプトおよびスーダンにおける取り組みの事例
14:
第14回
文化観光におけるインターネットとソーシャルメディアについて
15:
第15回
文化観光の未来:授業のまとめとデジタルトランスフォーメーションおよび地域振興・まちづくりについて