複合文化論系演習(医療人類学)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(医療人類学)
副題
―「この私」が、生きること、病むこと、死んでゆくこと
授業タイプ
演習
担当教員
磯野真穂
曜日
木曜日
時限
3時限
教室
未定(対面)
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

生きている限り私たちは必ず心や身体の不調を抱えます。そのような不調には、「うつ病」や「糖尿病」のような疾患名がつけられ、それに応じた治療法がとられることが私たちの社会では一般的ですが、このような医療システム(=生物医療)は世界ある医療システムの1つにしかすぎません。中には病名のつかない不調、精霊や呪いによって起こると考えられる不調もあります。
 医療人類学は、生物医療を最も優れた医療システムとして捉えるのではなく、世界にある数多くの医療システムの1つとして相対化し、ひとが抱える心身の不調を、生物学的な異常ではなく、個人の後ろ側にある社会や文化、政治・経済状況までもが包括的に絡み合った苦しみとして捉えます。
 本演習では、担当教員が著者として関わった、哲学者宮野真生子さんとの共著『急に具合が悪くなる』を教科書として用います。この本は、末期がんを患った宮野さんと、担当の磯野が3ヶ月に渡り、生きること、病むこと、死ぬことについてやりとりをしあった書簡です。著者の宮野さんはこの本を書き終えた2週間後に本の発刊をまたずして亡くなりました。それぞれの回のタイトルは、本の章のタイトルに合わせてあります。
 本演習ではこの書簡を手がかりに、現代医療(=生物医療)を相対化する術を学びます。します。またそればかりでなく、学生一人一人が本書を通じ、自分にとって生きること、病むこと、死ぬことはいかなることかを考えるきっかけになってほしいと考えています。

授業計画

1:
第1回
イントロダクション
2:
第2回
第1便:急に具合が悪くなる①
3:
第3回
第1便:急に具合が悪くなる②
4:
第4回
2便:何がいまを照らすのか
5:
第5回
3便:四連敗と代替療法
6:
第6回
4便:周造さん
7:
第7回
5便:不運と妖術
8:
第8回
6便:転換とか、飛躍とか
9:
第9回
7便:「お大事に」が使えない ①
10:
第10回
7便:「お大事に」が使えない ②
11:
第11回
8便:エースの仕事
12:
第12回
9便:世界を抜けてラインを描け! ③
13:
第13回
9便:世界を抜けてラインを描け! ③
14:
第14回
10便:ほんとうに、急に具合が悪くなる
15:
第15回
あなたにとっての生きること・死ぬこと