複合文化論系演習(フィールドワーク入門)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(フィールドワーク入門)
副題
文化人類学と民俗学を主軸にして
授業タイプ
演習
担当教員
酒井貴広
曜日
水曜日
時限
3時限
教室
未定(対面)
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 本演習は「フィールドワーク」から質的研究の基礎的な知識と実践方法を学ぶものである。「フィールドワーク」とは研究対象となる人々の属する社会へ実際に入り込み、対象社会集団の一員となって実施する調査手法を指す。特に異文化や他者の理解を試みる文化人類学において、フィールドワークは調査方法の要となっており、学問分野自体がフィールドワークとともに発展してきた。現在、フィールドワークは社会学、地理学、歴史学、建築学など様々な学問分野やビジネスの現場でも活用されている。
 フィールドワークを実践するためには、単純に調査地へ赴くだけではなく、事前に綿密な研究計画を立て、調査後は確かな視座に基づいたデータ分析を実施する必要がある。加えて、調査地での聞き取りやインタビューにも注意すべき点は多い。また、多くの場合生身の人々と関わるフィールドワークにおいては、研究対象者への配慮やマナーの習得、研究者自身がトラブルから身を守る方法を学ぶ必要もある。
 これらを踏まえ本演習では、20世紀初頭からフィールドワークの重要性に着目してきた文化人類学と民俗学の視座を主軸に据え、調査地の人々の生活に入り込みながら質的調査を実施する参与観察の技法の習得を目指す。
 なお、履修生にフィールドワークを体験させるため、講義中に課外活動を課す可能性がある。

授業計画

1:
第1回
ガイダンス:授業の目的・計画の説明、質的研究と量的研究
2:
第2回
ケーススタディの基礎:文化人類学とケーススタディ、「参与観察法」とは何か
3:
第3回
エスノグラフィーを読む:参与観察法の歴史・成果・課題
4:
第4回
参与観察の技術(1):環境・空間の観察方法とデータ、行動観察の方法とデータ
5:
第5回
参与観察の技術(2):非公式・構造化されていない聞き取りの方法とデータ
6:
第6回
参与観察の技術(3):半構造化インタビューの方法とデータ
7:
第7回
参与観察の技術(4):現場に参与し他者と出会うことの面白さと難しさ
8:
第8回
参与観察の技術(5):研究倫理と倫理審査、研究対象者への配慮
9:
第9回
フィールドワークの準備(1):フィールド・アクセス、テーマ・デザイン、ライブラリーワーク
10:
第10回
フィールドワークの準備(2):事前情報と問いの立て方、データ収集・記録方法の選定とトライアンギュレーション
11:
第11回
データ分析の技術(1):データの分類・配列とコーディング
12:
第12回
データ分析の技術(2):帰納的な「発見」と全体性・体験・文脈へのまなざし
13:
第13回
データ分析の技術(3):分厚い記述と解釈・再解釈およびモデル化、普遍性と独自性
14:
第14回
調査成果のプレゼンテーションと講評