感性の哲学

基本情報

科目名
感性の哲学
副題
知覚/感覚/感情
プログラム
感性文化
授業タイプ
講義科目
担当教員
本郷均、教員、小林信之
曜日
木曜日
時限
3時限
教室
34-453
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

この講義は、知覚や感覚や感情に関わる哲学的テーマを導入的に紹介するものです。
 わたしたちは「感性」を通じて世界に開かれています。見、聞き、触れることによって、わたしたちのまえに世界の風景がひろがり、わたしたちは世界の肌理に触れます。この講義は、視覚や聴覚や痛みなど身体的次元から、感情や気分や情緒など精神的次元にいたるまで、広範な感性の働きを理論的に考察することをめざしています。そしてそこからさらに、現代社会のなかで感性がどのような意味を担わされているか、また現代アートとしてであれ、さまざまな文化現象としてであれ、感性はどのように表現されているかといったテーマも展望したいと思っています。
 一例をあげれば「触れる(feel)」ということについて。もっともプリミティヴな感覚である触覚と、感情(feeling)との関係をめぐって考えること、そしてわたしたちが世界に触れる感触を意識化することが、ひとつの課題となります。
 あるいは、わたしたちの感覚の固有性(クオリア)と他者との関わりについて。たとえばわたしたちの「痛み」の経験はどこまでも伝達不可能であるのに、どうして他者への共感やコミュニケーションがなりたつのでしょうか。
 このように哲学的な議論が中心になりますが、しかし抽象的な思弁におちいることは避けて、現代アートなどのスライドや映像を交えつつ、できるかぎり具体的な表現を通じて考えていきたいと思います。あつかわれる個別テーマとしては、エポケーについて、知覚の問題(現象学の知覚論、印象派以降の絵画表現について)、言葉と感覚、聴くことの可能性(サウンドスケープ論)、痛みと他者、感情とクオリア、現代アートと皮膚感覚、現代感性論などです。(授業計画はWebシラバスに記載した通りですが、順番と内容は随時変更されます。)

授業計画

1: ガイダンス
 2: 研究領域の概要
 3: 知覚することについて
 4: 視覚の構造
 5: 視覚文化論
 6. 絵画と現実
 7: 「闇と沈黙の国」
 8. 聴覚文化論1(聴くこと/サウンドスケープ/声)
 9: 聴覚文化論2(耳を澄ますことの意味/サウンドスケープ論/日本文化の音風景―水琴窟ほか)
 10: 触覚文化論1(坂部恵「ふれることの哲学」ほか)
 11: 触覚文化論2(触覚の造形/現代美術と皮膚)
 12: 感情論
 13: 現代の問題
 14: 全体のまとめ1
 15: 全体のまとめ2