複合文化論系演習(日本古典文化の受容と変容)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(日本古典文化の受容と変容)
副題
現代人にとっての日本古典文化と文学の意味
授業タイプ
演習
担当教員
クリステワ・ツベタナ
曜日
金曜日
時限
5時限
教室
未定(対面)
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 日本古典文化の受容と変容という問題には、大きく分けて二つの側面がある。その一つは、日本国内での移り変わりであり、もう一つは、世界を舞台にした受容と変容のプロセスである。これら二つの側面には、共通点もあれば、相違点もある。たとえば、古典文学は、外国語訳を通して海外に発信されるが、日本国内においても、現代語訳の媒介を必要としている受容者は極めて多い。しかし、日本人の読者は、自然や風土から伝統や習慣などまで、古代から受け継がれてきた文化的土台を持っているのに対して、外国語に訳すことは、異なる文化的コードに植え付けることに至るので、変容の振幅は幅広い。あるいは、国内外でも古典の受容を特徴づけているのは、トランスメディア的な変容だが、主要な表現メディアは、文化によって時代によって異なるので、古典の「再生」には相違点があることも当然であろう。 一方、最も重要に思えるのは、あらゆる意味からして「グローバル化」されている現代社会においては、国内と海外での受容と変容のプロセスは、絡み合い、相互関係で繋がってきたことである。その結果として、海外での受容と変容は国内での受容にも反映され、古典文化の理解は、発信と受容の往復過程を通して形づくられるようになった。
 本演習では、まず、講師は文化理論を踏まえながら問題提起をして、具体的な例の考察をとして学生の問題意識を促していく。それを参考にして、学生が各自のテーマを選び、発表を行う。詳細は第一回目のオリエンテーションで説明する。

授業計画

第1回 9/25
オリエンテーション: コースの内容や流れ、学生の参加や評価基準などについての紹介
第2回 10/2
問題提起 I: 問題の枠組みと多様なアプローチについての紹介
第3回 10/9
問題提起 II: 理論的な土台U.エーコのコミュニケーション論(コード論); 「反復と差異」や「リゾーム論」などのポストモダン理論の紹介
第4回 10/16
問題提起 III: 日本古典文化の受容と変容の諸問題
第5回 10/23
ケース1: 『とはずがたり』の冒険
第6回 10/30
ケース2: a)「開かれた作品」としての『枕草子』(ピーター・グリーナウェイの『ザ・ピローブック』)
第7回 11/13
b)『枕草子』の外国語訳
第8回 11/20
日本古典文学の「開かれた構造」: 和歌
第9回 11/27
日本古典文学の「開かれた構造」: 『伊勢物語』
第10回 12/4
総合ディスカッション
第11回 12/11
モデルテクストとしての『源氏物語』
第12回 12/18
『源氏物語』の現代語訳と英訳
第13回 1/8
日本古典文学の絵画表現: 屏風歌、奈良絵本・絵巻物、浮世絵など
第14回 1/15
日本古典文化を遊ぶ: カルタから現代のゲームまで
第15回 1/22
まとめ