芸術論争の歴史

基本情報

科目名
芸術論争の歴史
副題
戦後から現代までの絵画表現について
授業タイプ
講義科目
担当教員
桝田倫広
曜日
月曜日
時限
6時限
教室
36-382
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 本講義は、1945年以降の、主に欧米圏で活動した作家を紹介していきます。とりわけ60年代以降、「絵画は終わった」と何度となく言われてきました。現在、現代美術の領域において作家たちは、インスタレーション、映像、ドキュメンテーションなど、さまざまな形式によって作品を制作しています。そのなかで絵画はかつてほど特権的な存在でないのは確かでしょう。それでも、絵画はいまなお描かれています。であるならば、現代における絵画の存在意義や可能性とは、一体何でしょうか。それを考えるためには、現代の絵画だけではなく、近過去の歴史や系譜を振り返る必要があります。ゆえに本授業では、絵画とは何かという問いが絵画制作に先立って厳しく問われることとなった戦後以降において活躍する作家たちを取り上げていきます。絵画を描くということ自体が、当たり前の営みではなくなった時代だからこそ、彼らは絵画とは何か、芸術とは何かという問い自体を引き受けながら、作品を生み出してきたのです。そのような作家たちの取り組みを見ていくことを通じて、絵画とは何か、芸術とは何かという根源的な問いを皆さんと考えていければと思っています。 本授業では戦後美術の流れの理解を目標にするのではなく、個々の作家や作品に対峙することを大切にし、1回の授業につき、1人ないし複数の作家の作品を考察します。それでも作家たちの画業を丁寧に追うことで、きわめて緩やかにではありますが、戦後美術の通史をカバーできるよう心がけます。「講義」というと受動的に聞くものという印象を抱くかもしれませんし、受講者の多寡によって様々な制約も生じることと思いますが、できるだけ、みなさんの積極的な参加ができるような時間にしたいと思っています。

授業計画

第1回 オリエンテーション
本講義の目的と概要について説明します。

第2回 抽象表現主義①
ジャクソン・ポロック

第3回 抽象表現主義②
ウィレム・デ・クーニング

第4回 抽象表現主義③
バーネット・ニューマン、マーク・ロスコ

第5回 ミニマリズム

第6回 ネオダダ
ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ

第7回 ポップ・アート
アンディ・ウォーホル

第8回 具象と抽象との間の綱渡り①
フィリップ・ガストン

第9回 具象と抽象との間の綱渡り②
フランシス・ベーコン

第10回 具象と抽象との間の綱渡り③
ゲルハルト・リヒター

第11回 日付けだけが描かれた絵画について
河原温

第12回 新表現主義
アンセルム・キーファー、ゲオルグ・バゼリッツ

第13回 女性による表現
マルレーネ・デュマス、草間彌生

第14回 90年代からゼロ年代の絵画
ピーター・ドイグ、リュック・タイマンス、ヴィルヘルム・サスナル、他

第15回
全体のおさらい及び、今日の表現について

なお、授業の進度、受講生及び講師の関心に応じて、取り上げる作家や授業の内容が変わる可能性はあります。