複合文化論系演習(ギリシア思想の伝播)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(ギリシア思想の伝播)
授業タイプ
演習
担当教員
岩田圭一
曜日
木曜日
時限
5時限
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 人間とは何か、人間はいかに生きるべきかといった、人間の存在の本質にかかわる問いを考えるとき、古代ギリシアの思想はわれわれに一定の思考方法を示してくれます。例えば人間を欲求的な部分と知性的・理性的な部分に分けて、知性や理性に従うことの重要性を説く考え方は、古代ギリシアの哲学者プラトンに由来する、西洋の伝統的な思考方法の一つです。この考え方では、人間の本質的な部分は知性や理性であり、知的な能力を発揮して生きることが幸福な生き方であるとされます。プラトンにおいては、イデアという理想的な範型的存在との関係で幸福な生き方が追求されますが、その弟子のアリストテレスにおいては、範型的存在は否定され、知性や感覚・欲求などに関する詳細な研究(魂に関する研究)を前提にした独自の幸福論が提示されます。続くヘレニズム・ローマ、中世の哲学者たちは、プラトン、アリストテレスの哲学を基礎にして、哲学のさまざまな問題に取り組み、哲学的思考を発展させました。この演習では、古代ギリシア哲学にはじまる西洋の伝統的な思考方法を学び、人間の生にかかわるさまざまな哲学的問題について考察を行います。

授業計画

 取り上げるテーマの主なものは以下のとおりです。これらのテーマから関心のあるもの(あるいはほかに関心のあるテーマがあればそのテーマ)を選び、基本的に、古代ギリシア哲学あるいはヘレニズム・ローマから中世にかけての哲学の範囲内で発表を担当してもらいます。他の時代の哲学・思想に強い関心をもっている場合は、これを取り上げることも、西洋の伝統的な思考方法と関係させる限りにおいて可とします。発表の参考になる文献は初回の授業で提示します。
 ・魂と肉体
 ・理性と欲求
 ・イデア論
 ・感覚と意識
 ・知性の働き
 ・徳と幸福 ・快楽
 ・美
 ・人間の生と神的な生
 最後の授業の際に、理解度の確認を行います。