現代美学の射程

基本情報

科目名
現代美学の射程
授業タイプ
講義科目
担当教員
渡辺洋平
教室
未定(対面)
授業シラバス
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授業概要

18世紀における誕生以来、美学は感性に関わる認識をあつかう認識論的側面と美や芸術に関する理論的・哲学的探求という側面とを共にふくみながら展開してきました。近代においてこの両側面を展開したのがドイツの哲学者イマヌエル・カント(1724-1804)であり、したがって彼こそが近代における美学の確立者だったと考えることができます。

しかしながら、今日、カントが想定していたような万人に認められる「美」や「崇高」の存在を端的に認めることは難しいでしょう。情報があふれ、価値観が多様化していくなかで、真実と虚構さえもがないまぜになりつつある現代社会においては、いかなる領域においても普遍妥当的な価値を見出すことはもはや不可能であるようにさえ思えます。こうした事態は、もっとも先鋭的な感性的対象である芸術において、近代以降「美」が特権的な目標や基準ではなくなったこととも連関しているはずです。

本講義では以上のような事態を歴史的/思想史的に振り返りつつ、現代において美学および芸術が持ちうる力やその機能、意義を考察します。どこかにある「唯一の答え」を拒否し、見る者に問いを提起する現代芸術は、現代において判断力を養うもっとも有効な対象です。したがって現代の芸術や美学を考察することはまた、この社会のなかでいかに生きるべきかという古代ギリシャ以来問われてきた倫理的な問いを問いなおすことにもなるはずです。

授業計画

1:
第1回
イントロダクション
2:
第2回
近代美学の確立者としてのカント(1)
3:
第3回
近代美学の確立者としてのカント(2)
4:
第4回
近代美術の成立と展開(1)
5:
第5回
近代美術の成立と展開(2)
6:
第6回
芸術の経験論—プラグマティズムの美学
7:
第7回
批評の理論、解釈と開かれ
8:
第8回
現代芸術の諸相(1)
9:
第9回
現代芸術の諸相(2)
10:
第10回
書物、テクスト、リゾーム/現前の形而上学と超越論的一者/デリダとドゥルーズ(1)
11:
第11回
書物、テクスト、リゾーム/現前の形而上学と超越論的一者/デリダとドゥルーズ(2)
12:
第12回
美学と倫理—アーレントによる『判断力批判』の読み換えとその批判的再検討(1)
13:
第13回
美学と倫理—アーレントによる『判断力批判』の読み換えとその批判的再検討(2)
14:
第14回
まとめ

▼開講予定日・時限(時間帯)
8月28日(月)2時限~4時限
8月29日(火)1時限~4時限
8月30日(水)1時限~4時限
8月31日(木)1時限~3時限