複合文化論系演習(国民文学から世界文学へ)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(国民文学から世界文学へ)
副題
ドラマ『silent』の脚本をよむ
授業タイプ
演習
担当教員
柿谷浩一
曜日
金曜日
時限
5時限
教室
未定(ハイブリッド(対面/オンライン併用))
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 昨年2022年のテレビドラマ作品で、驚異的な人気と話題を集めたのが、川口春奈主演・目黒蓮(Snow Man)ほか共演の『silent』(フジテレビ系・10月クール)。第1話から、配信再生回数の記録を更新しながら、SNSには「考察」もふくめた反応があふれ、回を重ねるごとに大きな社会現象になっていった。主人公の紬と、中途失聴で「音のない世界」を生きる元恋人の想との、温かくも切ないラブストーリー。近年の恋愛ドラマの作りとは一線を画す物語性。スピッツの名曲を用いた音楽的演出。主題歌との相乗効果。語るべき特色はたくさんありますが、やはり核となったのは、本作が連続ドラマ初の脚本家・生方美久が手がけた《台詞の圧倒的な美しさ・繊細さ》だろうと思います。劇中の「言葉とは何か」というモチーフ通りに、ひとつひとつの台詞が、まるで《国語辞典を遊泳する》ように、日本語自体のもつ美的さや豊かさにふれながら、同時に「手話」という言語の深みも多角的に掘り下げていました。単に意味やメッセージの面で台詞が素敵だとか深いといったレベルをこえて、ト書きもふくめて脚本の言語的特質に迫りながら。国民的支持を得たといkっても過言ではない、この作品が大衆の心に響いたわけを、放送からちょうど一年経た時間に、「脚本」の観点に徹底的に立ちながら、あらためて考えてみたいと思います。あくまでも「脚本」研究がメインになりますが、作品が及ぼしたテレビドラマへの影響――とりわけ恋愛ドラマの見方や、同ジャンル作品に対する価値観の変容等についても意見を交わせたらと思います。動画配信サービスで、映像作品が国内にとどまらず、世界へも発信されて受容されていく現在。ドラマも例外ではありません。そうした側面での考察も適宜ありうるでしょう。

 具体的には、作品の脚本(シナリオ)を1話分ずつ精読してきてもらい、全員でディスカッションを重ねていきます。刊行されている「シナリオブック」を用いる予定でいますが、配信状況等によって、実際の映像を鑑賞するかたちでの進行とするかもしれません(これについては秋学期の科目登録頃に「備考」で示します)。

【進め方について】
☆授業スタイルは、オンライン配信(リアルタイム)授業を基本とします。そこへ数回の対面授業を挟んでいく予定です。詳細は科目登録頃に「授業計画」と「備考」で示します。
・授業自体はディスカッション重視にしたいので、各自で予め対象回の脚本を読んできてもらい(あるいは鑑賞してきてもらい)ます。人によりますが、しっかり各台詞に“躓き”ながら吟味した精読となれば、1時間弱はかけてほしいところです。
・受講人数と関心によって、発表(形式)をどうするかの詳細は柔軟に相談して決めます。
・授業前半部や合間に、教員による導入的な「ミニ講義」を挟みます。
・レポート等の課題提出は基本ありません(急な休講等の補完をのぞく)。
・講義回以外は、私もディスカッションの参加者のひとりです。日本文学・文化、ポップカルチャーの観点から、発表報告に対してコメント等はもちろんしますが、それ以降は一緒に考える「仲間」でありたいというのが願いです。活発に、対等に、対話をし合えたら素敵ですよね、という想いです。よろしくどうぞ。

授業計画

このクラスでは、集った受講生の関心も考慮しつつ、以下のパートを柔軟に構成しながら進行していきます。
 
 ・担当教員による「導入・ミニ講義」
 ・受講生全員でのシナリオ精読、あるいは映像鑑賞
 ・各自の関心にもとづく「脚本分析」の発表
 ・これらをもとにした、受講生全員による「ディスカッション」
 ・ゲスト講師による特別授業[予定]

【授業形態】
オンライン配信(リアルタイム)を主とする。その合間に、対面授業を挟む予定です。 ※秋学期登録時に再度確認すること