複合文化論系演習(文化人類学入門)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(文化人類学入門)
副題
自己の暗黙の前提を切り崩すためのレッスン
プログラム
人間文化
授業タイプ
演習
担当教員
箕曲在弘
曜日
月曜日
時限
3時限
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 本演習では、文化人類学の基本的なテーマについての理解を深め、その思考法を習得し、自分の身の回りの現象を文化人類学の視点から分析できるようにすることを目指す。文化人類学は異文化の奇妙な慣習や風習を調査する学問だと思われている節があるのだが、実際には様々な形の異文化理解を通じて、人間とは何かを問うことに主眼がおかれる。私たちはこれまで生きてきたなかで様々な常識を身につけている。だが、文化人類学を学ぶとそうした常識が決して人間存在にとって普遍的なものではないということに気づくことになる。
 本演習では、文化人類学がこれまでの蓄積してきた知の遺産をもちいて、私たちの常識を相対化し、自己の暗黙の前提を切り崩す体験をしてもらう。そのために重要なのは教室内でのディスカッションである。本演習では教科書『東南アジアで学ぶ文化人類学』をもちいた「反転授業」を行う。すなわち、授業を受ける前に教科書の割り当てられた章を読んできてもらい、あるていど知識をつけたうえで、授業内では班ごとのディスカッションをメインに据える。ディスカッションのトピックも教科書の各章末に記してあるので、事前に何を話すか考えてきてもよい。
 文化人類学の学習にとって、そのなかで使われる概念を覚えるは手段ではあるが目的ではない。むしろその目的は、文化人類学者が生み出してきた概念をさまざまな現象に当てはめて、その現象の見え方を変えていくことにある。14回の授業を終えたのちに、皆さんの世界の見え方が大きく変わっていることを願う。

授業計画

1 東南アジアを通してみる文化人類学の世界
2 親族と家族――家族にとって血のつながりは欠かせないものか?
3 ジェンダーとセクシュアリティ――人間の性はどのように多様で複雑か?
4 民族とエスニシティ――「民族」の境界はどう決まるのか?
5 歴史と記憶――他者の多様な過去にどう関わるのか?
6 国家――国家にどう向き合う?
7 経済とモラル――「豊かさ」は数値で測るだけで十分なのか?
8 法と慣習――法は私たちを縛り、罰するためのものか?
9 呪術と宗教――「信じること」は宗教に不可欠なのか?
10 死と儀礼――どのように死と向き合うのか?
11 芸能――社会にはなぜ歌や踊りや芝居が必要なのか?
12 医療――人は心身の問題にいかに向き合っているのか?
13 観光――文化が観光によって創られる?
14 まとめ