複合文化論系演習(グローバリゼーションと人間の経済)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(グローバリゼーションと人間の経済)
副題
「仕事」の人類学
プログラム
超域文化
授業タイプ
演習
担当教員
松前もゆる
曜日
金曜日
時限
4時限
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 経済活動は人間にとって欠かすことができない営みであり、各地の生業などの分析は文化人類学を学ぶ者にとって必須となってきました。一方で、グローバリゼーションが進行する今日の世界では、経済は、市場経済に特化するかたちで、文化やくらしとは切り離して語られがちです。しかし、世界各地でのフィールドワークから明らかにされてきたように、グローバリゼーションは各地域で個別に、ローカルなかたちで(も)立ち現れるのであって、人々が実際にグローバリゼーションをどう生きているのかにもっと目を向ける必要があるでしょう。
 本演習では、とくに「仕事」や「働くこと」に焦点をあて、文化人類学および隣接分野でどのような議論がなされてきたかを学びます。ここで重視されるのは、グローバル経済の只中にあって、実際に人々がなにを「仕事」とし、どのように働いているのかということです。人間のくらしに根ざした経済(=人間の経済)、つまり、人が生きる中での「仕事」や「働くこと」を見つめ直し、その現状と課題について、参加者とともに考えることを目指します。 
 なお、本演習では「仕事」に関する文化人類学分野の文献(今学期は、デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』岩波書店、2020年、を購読予定)から学んだ後、参加者に関連するトピックについて調べ報告してもらう時間をとる予定です。

授業計画

1:
第1回:イントロダクション
本演習の概要について説明します。
2:
第2回:講義~イントロダクション②
ブルシット・ジョブ現象について(『ブルシット・ジョブ』序章)
3:
第3回:文献購読(グループ発表)とディスカッション①
ブルシット・ジョブとはなにか?(『ブルシット・ジョブ』第一章)
4:
第4回:文献購読(グループ発表)とディスカッション②
どんな種類のブルシット・ジョブがあるのか?(『ブルシット・ジョブ』第二章)
5:
第5回:文献購読(グループ発表)とディスカッション③
なぜ、ブルシット・ジョブをしている人間は、きまって自分が不幸だと述べるのか?(『ブルシット・ジョブ』第三章)
6:
第6回:文献購読(グループ発表)とディスカッション④
ブルシット・ジョブに就いているとはどのようなことか?(『ブルシット・ジョブ』第四章)
7:
第7回:文献購読(グループ発表)とディスカッション⑤
なぜブルシット・ジョブが増殖しているのか?(『ブルシット・ジョブ』第五章)
8:
第8回:文献購読(グループ発表)とディスカッション⑥
なぜ、ひとつの社会としてのわたしたちは、無意味な雇用の増大に反対しないのか?(『ブルシット・ジョブ』第六章)
9:
第9回:文献購読(グループ発表)とディスカッション⑦
ブルシット・ジョブの政治的影響とはどのようなものか、そしてこの状況に対してなにをなしうるのか?(『ブルシット・ジョブ』第七章)
10:
第10回:グループ発表とディスカッション①
テーマ案:仕事とジェンダー①「女性たちはどこでどのように働いてきたのか」
11:
第11回:グループ発表とディスカッション②
テーマ案:仕事とジェンダー②サラリーマンと「仕事」
12:
第12回:グループ発表とディスカッション③
テーマ案:家事、ケア
13:
第13回:グループ発表とディスカッション④
テーマ案:起業、フリーランス
14:
第14回:グループ発表とディスカッション⑤、まとめ
テーマ案:ベーシックインカム