愛の制度

基本情報

科目名
愛の制度
副題
愛と性の諸相―聖と俗のあいだ
プログラム
感性文化
授業タイプ
講義科目
担当教員
山本恵子
曜日
火曜日
時限
4時限
教室
38-AV
授業シラバス
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授業概要

 文化(異文化)を理解することは、その文化における愛の構造を理解する、あるいはその形を実感することに他なりません。
 日本人にとって「愛」という概念は、いささかよそよそしいものと感じられるのではないでしょうか。「愛している」ということばをあまり耳にしないのも確かでしょう。
 本講義においては、「愛」についての様々なコンテクスト(文化、芸術、宗教、社会、法、経済)を踏まえたうえで、異なる文化や異なるメンタリティ間の「愛」の位相差を検討していきます。
 その際、皆さん自身で問いを立ててみて下さい。たとえば、利害を度外視し、肉欲を超え出た純粋な愛は存在するか、と。人間と神との関係にあっては可能かもしれません。しかし人間と人間との愛においては、そのような関係はとても難しいのではないでしょうか。私たちの存在はとても弱いものです。自分自身でもどこへ行ってしまうかわからない。そんな不安定な人間を何かが支えているという側面があります。じっさい何かしらの制度に守られて私たちは愛を実現しているわけです。たとえば、結婚という制度がそれです。キリスト教圏においては、かつては教会が、そして今日では裁判所がこの制度を支えてきました。しかしこの制度も文化圏によって異なり、その結果愛の実現のあり方も異なります。さらに後の世代にとって既存の制度が桎梏となり、その制度を改変しようとすることはしばしば見られることです。そして「愛」の形もそれにつれて変わっていきます。
 本講義においては、一方で、このもっとも崇高で抽象的な「愛」の広がりを確認するとともに、他方ではきわめて具体的なレベルでの愛のあり方とその制度について検討していきます。当然のことながら、欲望、死、名誉、権力、価値、神といった事柄についても考えていきますし、売春、同性愛、心中、偏愛といった形についても検討する必要があるでしょう。

授業計画

 本講義においては、以下のテーマに従って、適宜愛についてのさまざまな思想や理論をふまえつつ検討してゆくことになります。
 1)愛の「かたち」

 2)人への愛



 4)人間への愛(1)死と愛のファンタジー

 5)人間への愛(2)死と愛のリアリティー

 6)人間への愛(3)死と愛のモラリティー

 7)小テスト1回目
  神への愛(1)
8)神への愛(2)

 9)ギリシャ・ローマ時代における愛

10)自由恋愛―サルトルとボーヴォワール

11)愛のアート

12)愛とアート
13)性愛の哲学(1)バタイユの思想

14)小テスト2回目 
性愛の哲学(2)売春をめぐる哲学

15)モノへの愛