文学と言語

基本情報

科目名
文学と言語
副題
「文学」を表現する、「ことば」、「図像」、「映像」
プログラム
異文化接触
授業タイプ
講義科目
担当教員
宮城徳也
曜日
金曜日
時限
3時限
教室
31-208
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

 「文学」を意味する英語、literatureは、語源となった諸語ではtがもう一つ加わり、例えばラテン語ではlitteratura(リッテラトゥーラ)となり(フランス語ではlittératureリテラテュール、イタリア語ではletteraturaレッテラトゥーラ)、littera「文字」から派生しています。「文字」は「ことば」を表現する記号であり、「ことば」によって意味される体系が「言語」を言えるでしょう。「言語」と言う総体は「ことば」によって成立しています。「言語」は必ずしも文字を必要としませんし、無文字社会にも「文学」が存在しますから、「文学(作品)」にも絶対に文字が必要というわけではありません。それにも関わらず「文学」と言う語は、ヨーロッパ語では「文字」と言う語によって成立しています。私たちに伝えられてきた「文学」がいかに、「言語」の根幹である「ことば」に支えられて成立しているかを、言語芸術である「文学」テクストをもとにした、演劇、絵画、彫刻、音楽、映画など他の芸術作品との比較によって、「文学」における「言語」の重要性を考察します。
 なお、科目の性質上、文学のテクストは英語など必要な場合の例外を除いて、日本語翻訳、もしくは日本語原作を用います。これを通じて,併せて「翻訳」,「翻案」の問題も本講義の重要なテーマに位置づけます.

授業計画

1: 第1回
「文学」と「言語」に冠する整理、「翻訳」と「翻案」

2: 第2回
古代叙事詩と文学批評(「比喩」と文学創作)

3: 第3回
叙事詩における英雄像(「英雄」と言う用語と、そのイメージ)

4: 第4回
ギリシア神話と言語(人物造形と「物語」)

5: 第5回
イソップ寓話と言語(『聖書』の譬え話、近代「童話」との比較から見た「寓意」と「教訓」)

6: 第6回
冒険物語と言語、映像(『オデュッセイア』からジュール・ヴェルヌまで)1

7: 第7回
冒険物語と言語、映像(『オデュッセイア』からジュール・ヴェルヌまで)2

8: 第8回
旧約聖書の「英雄」(モーセとダヴィデ)の言語表現と図像表現、新約聖書の登場人物(イエスとマリアなど)の言語表現と図像表現から「文学」への展開

9: 第9回
聖人伝の言語、伝承、文学、図像と「文学」

10: 第10回
ギリシア悲劇と言語、翻案、図像1(『オイディプス』の場合)

11: 第11回
ギリシア悲劇と言語、翻案、図像2(『メデイア』の場合)

12: 第12回
喜劇表現における言語と映像表現(リチャード・レスター「ローマで起こった奇妙な出来事」)

13: 第13回
シェイクスピア劇の言語と映像(『マクベス』と『真夏の夜の夢』の場合)

14: 第14回
「文学」における「言語」の役割

15: 第15回
教場試験