現代美学の射程

基本情報

科目名
現代美学の射程
副題
創造/模倣/反復
プログラム
感性文化
授業タイプ
講義科目
担当教員
伊野連
曜日
火曜日
時限
4時限
教室
34-453
授業シラバス
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授業概要

 「芸術という人間の活動が、創造的であると考えられることになったのは、いつごろなのでしょうか。」
 「そしてそれは何故なのだろうか。」
 こういったことをまず問うてみましょう。模倣のない創造などというものが、私たち人間にとって本当にあるのでしょうか。私たちは、デジタル時代に生きて、まさに「反復」を強いられています。いたるところにある「同一」のもの。ラジオから、テレビから…。見たり、聞いたりするに耐えられないほどの多くの複製品が、私たちの存在を軽くしているのではないでしょうか。みな同じように見えるのっぺらぼうの世界。――本講義では、このような今日の状況をふまえ、さまざまな例を顧みながら、場合によっては過去にたちかえりつつ、芸術と創造、さらには私たちの生き方について検討していきます。そのうえで、美、あるいは醜を求める人間の「偏愛」が、芸術においていかに重要であるかを見てゆくことにします。その際、創造と模倣、あるいは反復がけっして対立項ではないことを見ることになりますし、消費へと駆り立てられる現代人があえて模倣を創造と考える論理も検討する必要があるでしょう。と同時に、もちろん、諸文化圏の構造的な差異が、いかに異文化を異文化として際立たせているかという点についても見ていくことになるでしょう。
 これらの点をふまえたうえで、現代における美学の問題関心と具体的な芸術作品とを手がかりとして「芸術」の諸相について検討していきます。そして最終的には、現代における「美」の概念の行き着く先を見定めることができればと考えています。

授業計画

 本講義においては、随時いろいろなジャンルの音楽、絵画、写真、映画等を見たり、聞いたりしながら、以下のような事柄について適宜美学史あるいは美についての理論をふまえつつ検討してゆくことになります。
 1)美の「消費」
 2)近代の終焉/現代の黎明
 3)制度と美
 4)音楽の世界における中心の喪失
 5)愛と死
 6)天才と凡庸
 7)記号と象徴
 8)フェティシズムの諸相
 9)メディアとしての芸術
 10)身体と美
 11)美と空間と時間
 12)廃墟の美学
 13)メディアと美
 14)テクノロジーと感性

※上記はあくまで目安であり、状況に応じて随時変更されることがあります。