早稲田大学 文化構想学部 複合文化論系

　本講義は、1945年以降の、主に欧米を中心とした絵画について見ていきます。とりわけ戦後から現代にかけて「絵画は終わった」と何度となく言われてきました。コンテンポラリー・アートに目を向ければ、インスタレーション、映像、ドキュメンテーションといった新しい様式が出現し、現在、絵画というジャンルは、かつてほどの特権的な存在ではないことは明白でしょう。しかし、古来より現在に至るまで絵画は描かれ続けており、私たちは絵画を通じて人間の感性や想像力、思考のモデルなどの可能性を考えることができます。それでは現代における絵画の存在意義や可能性とは、一体何でしょうか。それを考えるためには、現代の絵画だけではなく、過去の歴史や系譜に立ち返る必要があります。ゆえに本講義では絵画とは何か、という問いが絵画制作に先立って厳しく問われることとなった戦後以降において活躍する画家たちを取り上げ、彼ら/彼女らがいかなる課題に取り組み、何を表現しようとしてきたのか、更には私たちは今そこから何を引き出すことができるかを考察します。取り上げる作家のセレクションによって、きわめて緩やかにではありますが、戦後美術の通史をカバーすることになるでしょう。しかし、本授業では戦後美術の流れの理解を目標にするのではなく、個々の作家や作品に対峙することを大切にし、ひとつの授業につき、1-3人の作家に焦点を当てます。

第1回
オリエンテーション

第2回
ジャクソン・ポロック、ウィレム・デ・クーニング

第3回
バーネット・ニューマン、マーク・ロスコ

第4回
ジャン・フォートリエ、ジャン・デュビュッフェ

第5回
ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ

第6回
フランク・ステラ、ブライス・マーデン

第7回
アンディ・ウォーホル

第8回
フランシス・ベーコン

第9回
ルシアン・フロイド、デヴィッド・ホックニー

第10回
エド・ルシェ、河原温

第11回
ゲルハルト・リヒター、ジグマー・ポルケ

第12回
アンセルム・キーファー、ゲオルグ・バゼリッツ

第13回
マルレーネ・デュマス、クリス・オフィリ

第14回
リュック・タイマンス、ヴィルヘルム・サスナル

第15回
全体のおさらい
　なお、授業の進度、受講生及び講師の関心に応じて、紹介する作家は変わる可能性があります。