複合文化論系演習(移民社会と地域文化)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(移民社会と地域文化)
副題
中国朝鮮族の生活文化史
プログラム
異文化接触
授業タイプ
演習
担当教員
花井みわ
曜日
火曜日
時限
6時限
教室
31-313研究指導室
授業シラバス
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授業概要

 本授業では、中国東北部(旧満洲)における朝鮮人の移民史を社会と教育の側面から考察する。合わせて満洲の日本人移民と比較しながら満洲国の五族協和の実態を考察する。朝鮮人移民とともに形成された村、ここでは満洲国が1935年調査した調査村を65年後再調査したフィルードワークを交えて紹介しながら朝鮮人移民の社会変動を考察する。また、満洲の朝鮮人の教育と文化の中心地であった間島(現在の延辺朝鮮族自治州のほとんどの地域を含む)における朝鮮人移民と地域社会との連関、朝鮮人移民と東アジア地域文化の多様性に迫る。朝鮮人移民によって、満洲には新たな地域社会が形成し、地域社会は豊かになり、活気に溢れていた。日本帝国支配下にあった朝鮮と満洲においては朝鮮人移民は国境をまたいだ独自の生活文化圏を形成した。1945年日本帝国崩壊後、朝鮮人の一部は朝鮮或は韓国へ渡ったが、ほとんどの人は東北に残り、中国朝鮮族となった。中国朝鮮族は、中国公民であるというアイデンティティと朝鮮民族であるというアイデンティティを持っている。朝鮮人移民の定着と適応過程においては教育が重要な役割を果たし、教育は社会変動、社会上昇の原動力であったことを解き明かす。
 授業では、トピックス、歴史資料、写真、映像を通じて朝鮮人移民と地域社会の連関を考察する。朝鮮人移民が固有の民族文化を守りながら、どのように新しい文化と近代教育を取り入れ、それを習得する努力をし、激動する社会に柔軟に適応しながら生きて来たかを検証する。
 授業では受講者自身が疑問に思ったことに対して意見を発表し、議論を行う形式を取りながら、授業を進める。

授業計画

第1回
オリエンテーション(本講義の目的と概要)/本講義の目的と概要について説明します。

第2回
豆満江を超えて満洲へ移民した朝鮮人

第3回
朝鮮人移民と中国地方官憲との関係

第4回
抗日武力闘争から産業と教育事業への転換

第5回
「親日」と「反日」の間で

第6回
満洲朝鮮人村と朝鮮人社会

第7回
朝鮮人の満洲水田開発

第8回
国際都市――龍井

第9回
在満朝鮮人はなぜ日本の教育を受けたか

第10回
在満朝鮮人移民文学

第11回
満洲朝鮮人スポーツの展開

第12回
日本の戦時体制下の生活と社会統合

第13回
1945年8月以降、国共内戦期東北朝鮮人の選択

第14回
社会主義体制下の朝鮮族文化と教育

第15回
まとめと総括、現在の中国朝鮮族の社会移動と関連して