複合文化論系演習(日本の美意識)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(日本の美意識)
副題
日本の古典文化における「美」の観念
プログラム
感性文化
授業タイプ
演習
担当教員
陣野英則
曜日
金曜日
時限
4時限
教室
32-228
授業シラバス
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授業概要

 「みやび」「もののあはれ」「幽玄」「わび」「さび」などは、日本における古来の「美」に関わる理念として、今日でもしばしば用いられる言葉だが、それらは初めから美的理念であったわけではない。「みやび」という古語ははやくからあったが、それが美的理念として用いられるようになるのはずっと時代が下ってからのことであった。「もののあはれ」にしても、近世の本居宣長が『源氏物語』をもとにしてあらたにつくりだした理念であって、一千年前から理念となっていたわけではない。
 一方、中世になると「幽玄」などの言葉が、抽象度の高い美的理念として用いられるようになる。ただし、その概念は相当にゆるやかであって、文脈次第で意味もかなり異なっている。
 この授業では、上記のようないくつかの問題点を確認した上で、「美」に関わる理念がどのようにしてつくりだされたのかということをおさえてゆきたい。あわせて、そうした理念がつくりだされる前の、古典それ自体における「美」的なもののありかについても考えられれば、とおもう。
 受講者には、授業計画に掲げるテーマの中から一つを選択して発表に取り組んでもらう。詳細は第1回めのオリエンテーションで説明する。

授業計画

第1回 4/11
オリエンテーション、ケンブリッジ大学から来日中の招聘講師に日本古典文化とその美意識について訊く

第2回 4/18
関係する文献についての紹介

第3回 4/25
『古今和歌集』(仮名序)にみられる理念と言葉(1)

第4回 5/9
『古今和歌集』(仮名序)にみられる理念と言葉(2)

第5回 5/16
古典文学とカノン化

第6回 5/23 ※以下、第14回までは発表と討議
「ますらをぶり」と「たをやめぶり」

第7回 5/30
「みやび」について

第8回 6/6
「をかし」について

第9回 6/13
「もののあはれ」について(1)

第10回 6/20
「もののあはれ」について(2)

第11回 6/27
「余情」「艶」「妖艶」「幽玄」などについて(1)

第12回 7/4
「余情」「艶」「妖艶」「幽玄」などについて(2)

第13回 7/11
「わび」と「さび」について(特に「わび」)

第14回 7/18
「わび」と「さび」について(特に「さび」)

第15回 7/25
全体のまとめ