複合文化論系演習(医療人類学)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(医療人類学)
プログラム
文化人類学
授業タイプ
演習
担当教員
磯野真穂
曜日
木曜日
時限
4時限
教室
33-2-210
授業シラバス
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授業概要

 生きている限り私たちは必ず心や身体の不調を抱えます。そのような不調には、「うつ病」や「糖尿病」のような疾患名がつけられ、それに応じた治療法がとられることが私たちの社会では一般的ですが、このような医療システム(=生物医療)は世界ある医療システムの1つにしかすぎません。中には病名のつかない不調、精霊や呪いによって起こると考えられる不調もあります。
 医療人類学は、生物医療を最も優れた医療システムとして捉えるのではなく、世界にある数多くの医療システムの1つとして相対化し、ひとが抱える心身の不調を、生物学的な異常ではなく、個人の後ろ側にある社会や文化、政治・経済状況までもが包括的に絡み合った苦しみとして捉えます。
 本演習では、生物医療以外の医療システムや、摂食障害、ストレス、トラウマといった最近よく耳にする用語や、死や老化といった問題を扱い、心と身体の不調を、世界の中で試行錯誤をしながら生きる人間という大きな視野でとらえる見方を学びます。

授業計画

1: 第1回
イントロダクション―病気とは何か

2: 第2回
食人種―なぜ私たちは人を食べないのか。人食いから捉える現代社会の死生観

3: 第3回
妖術―なぜ私たちに不幸がふりかかるのか

4: 第4回
ユタ―幻聴と幻視がリアルになるとき

5: 第5回
大麻が合法な文化―麻薬はどこまで危険なのか

6: 第6回
病気と比喩―なぜがんはおぞましく、心臓病はそうでないのか

7: 第7回
ストレス―「ストレス」概念は何を説明するのか

8: 第8回
理解度の確認

9: 第9回
PTSD―疾患はどのように作られるか

10: 第10回
エイズ―病気が国家と個人を結びつけるとき

11: 第11回
発達障害―病気における連続性と差異性とは

12: 第12回
アトピー性皮膚炎―なぜ人は代替医療を使うのか

13: 第13回
生殖技術―子を持つことができるのは誰か。個人と国家のかかわり。

14: 第14回
摂食障害―病気の人が物語を求める理由

15: 第15回
まとめ