複合文化論系演習(民族文化論)

基本情報

科目名
複合文化論系演習(民族文化論)
副題
各地の民族誌における植物利用
プログラム
文化人類学
授業タイプ
演習
担当教員
赤司千恵
曜日
水曜日
時限
5時限
教室
32-324
授業シラバス
[シラバスへのリンク]

授業概要

ひとは農耕が始まるはるか以前から、衣、食。住、生活のあらゆる場面で、さまざまな植物を利用してきました。栽培植物もあれば、農耕開始から数千年たった今でも、野生植物を採集して用いることもあります。農作物のなかには、ムギやイネなど広い地域でつくられている作物もあれば、エチオピアのテフのように、特定の地域でのみ重要性を保ち続けている種もあります。また同じ植物であっても、地域・文化によっては異なる利用法、異なる意味を持っている場合も少なくありません。たとえばイネは、日本では主食であり「ごはん」ですが、中東では野菜のひとつで、パンにはさんで食べたりしますし、ヨーロッパではサラダに入れることもあります。加工方法も多様で、穀類であれば粒、麺、パン、粥など、食べ方も文化によって異なります。
 このような植物利用の多様性は、周辺の自然環境(植物の生育環境)に最も影響されているのは確かですが、歴史的・文化的選択も大きく関係しています。そこで本演習では、まず中近東と中央アジアにおける伝統的植物利用(特に食の場面)とその歴史を、民族誌と考古資料を用いて紹介し、現在の食文化がどのように形成されてきたかを辿ります。その後、各自興味を持つ地域や特定の植物を選んで発表・ディスカッションを行うこととします。
 履修者は各自、①から③のいずれか、または複数の視点で好きなテーマを選び、教場で1回以上発表し、受けた質問やコメントを踏まえて小レポートにまとめてもらいます。
 ①特定の植物に関して、地域による利用方法の違いを調べて比較する
 ②限られた地域でしか利用されていない植物、または昔は重要だったのに現在は利用されなくなった植物について、その歴史や伝統的利用法を調べる
 ③興味を持つ地域の民族誌から、新しい植物が入ってきたとき、伝統的な植物の利用がどう影響を受けるかを考察する

授業計画

第1回 オリエンテーション:各地の食文化
 第2回 講義:中東の食文化形成史(旧石器時代から現代まで)、発表テーマ・順番決定
 第3回 講義:忘れられた作物
 第4回~15回 発表・ディスカッション