世界の言語と日本語

基本情報

科目名
世界の言語と日本語
プログラム
言語文化
授業タイプ
講義科目
担当教員
吉田健二
曜日
木曜日
時限
3時限
教室
36-682
授業シラバス
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授業概要

言語類型論(Linguistic Typology)は,世界の言語の特徴をできる限り広く調べ,ヒトの言語に共通の(普遍的な)要素は何か(またそもそも普遍的な要素はあるのか),逆に,言語はどこまで多様に異なりうるのかなどを明らかにしようとする研究分野です.この授業では,世界の言語の類型論的傾向に照らしたときの日本語の位置・特徴を考察し,さらに,方言もふくむ日本語の研究による知見が,世界言語の類型論的研究にどのような洞察をもたらすか,みなさんと考えたいと思います.
 ドイツのMax-Planck研究所が開発したWorld Atlas of Language Structure(WALS)という言語類型論の研究用データベースがあります.WALSは,言語の構造上のタイプ(類型)にかんする144の項目について,平均400言語の情報を分類し,地図上に示したもので,インターネット上で公開され,現在も拡充されています.この授業では,このWALSを基礎資料として使用します.毎回,受講者のうち数人にお願いして,その回のテーマに関連したいくつかの章の記述を要約して説明し,Q&Aセッションの司会も担当していただきます.授業計画の末尾の数字は,予定している章番号です.また,毎回の授業の最後に,担当講師(吉田)が,類型論研究の理論的問題に関連した短い講義を行います.

授業計画

1:
第1回
WALSの概要(Introduction)/ 報告者などの決定
2:
第2回
類型論のデータ採取の問題:S/V/Oの語順(81, 82, 83)
3:
第3回
含意法則:語順タイプの関連(95, 96, 97)
4:
第4回
類型の変化:格組織のタイプ(98, 99)
5:
第5回
類型の定義:格組織のタイプと態(107, 108)
6:
第6回
類型の多寡とその理由:語構造と統語構造(25, 26)
7:
第7回
言語普遍性:関係節(122, 123)
8:
第8回
方言の類型:テンス・アスペクトとEvidentiality(65, 77, 78)
9:
第9回
類型の地域的かたより:語構造の複雑さ(22, 49, 55)
10:
第10回
語彙構造(131, 132)
11:
第11回
指示詞の体系(41, 42, 43)
12:
第12回
音韻組織の複雑さ(1, 2, 12, 13)
13:
第13回
子音体系(3, 8, 9)
14:
第14回
音韻項目の有無(5, 11, 18)
15:
第15回
韻律体系の普遍項(12, 13)/まとめ