現代美学の射程

基本情報

科目名
現代美学の射程
副題
現代において美学的に思索するとはいかなることか
プログラム
感性文化
授業タイプ
講義科目
担当教員
伊野連
曜日
水曜日
時限
3時限
教室
38-AV
授業シラバス
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授業概要

 現代美学においては、「創造」「模倣」「反復」などがキーワードとして論じられます。創造性・オリジナリティは最上のものとされがちですが、古今、まったくのオリジナルなどそもそも存在するのでしょうか。ましてや「芸術の終焉」が叫ばれて久しい現代においてはなおさらでしょう。
 すると模倣とかコピーの意味を再検証する必要が出てくるはずです。オリジナルとコピーとの差異を「アウラ」(オーラ)の有無に指摘した美学者もいます。我々現代人が接しているアートのほぼ100%はコピーのはずで、それで感動できる我々とはいったい何なのか。日々展開されているアート・ムーヴメントは単なる反復にすぎないのか否か。
 分野にとらわれず、マルチ・メディアを用いて、一般に主要3ジャンルとされる美術・音楽・文学はもちろん、サブカルチャルなものやスポーツなども視野に入れたい。同じく、美学と倫理学との近接する問題についても考察してみたい。

授業計画

1: 第1回
「現代美学の射程」をめぐって――「現代」の「美学」とは何か――

2: 第2回
映像作品における音楽の意義――映画『アマデウス』考察――

3: 第3回
「中心の喪失」と「新しい神話」――F・シュレーゲルと近代ドイツ文化――

4: 第4回
西洋音楽史再考――ドイツ音楽中心主義vs.イタリア・オペラ至上主義――

5: 第5回
ゲスト講義(その1)

6: 第6回
モダンとポストモダン――マルセル・デュシャン『泉』――

7: 第7回
オリジナルとコピー――W・ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』――

8: 第8回
フェティシズムと芸術――有用性を超えた物神性――

9: 第9回
廃墟の美学――美学と感性論――

10: 第10回
「醜」の美学――美学的価値と倫理学的価値――

11: 第11回
ゲスト講義(その2)

12: 第12回
美と死の問題――中世英雄叙事詩と楽劇『トリスタンとイゾルデ』――

13: 第13回
三島由紀夫、ギリシャ悲劇、任侠映画――悲劇の本質と倫理的葛藤――

14: 第14回
身体性と美――舞踊、スポーツ、名演奏――

15: 第15回
試験:授業時間内にレポート1課題を執筆して提出